プログラミング基礎 I

第九回 (2005年 6月 20日): データの関連付け: ハッシュ

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2005/Programming%20Basics%20I/lecture10.html

© 2005 Martin J. Dürst 青山学院大学

先先週の演習・宿題

• ローマ字表記を「ワープロ式」や訓令式からヘボン式へ変換するプログラムを作る (解答例)

配列の特性

• 特長:
  • たくさんのデータを一緒に納められる
  • 指数 (番地) が分かればデータはすぐ見つかる
• 弱点:
  • 指数 ([] 内) には数しか使えない
  • 指数が離れている場合にはメモリをたくさん取る
  • 何か探すときには全要素をチェックしないといけない

ハッシュ (連想配列)

• 「指数」(「番地」) は数とは限らない
• 要素を一個参照するのが配列を全部辿るより速い
• 配列はコンピュータのハードに近い; ハッシュは人間の記憶に近い

ハッシュの例: 月の番号と名前

番号から名前を引く (配列使用):

$months[1] = "January";
...

名前から番号を引く (ハッシュ使用):

$months{'January'} = 1;
...

ハッシュの書き方

ハッシュ全体: %hash
(% はハッシュの「冠詞」でかる)

ハッシュの一個の要素: $hash{'key'}
(「単数」(スカラ) なので「冠詞」は $ に変更)
(ハッシュの「番地」はキー (鍵) と言う)

$months と $months[$n] と $months{$m} は別物

$months と @months と %months は別物

ハッシュとリスト

リストをハッシュに変換する (例えば代入する) 時に、リストはキーと値の繰り返しと見なされる:

%months = ('January', 1, 'February', 2, 'March', 3, ...);

関連をもっとわかりやすくするには => を使える:

%months = ('January' => 1, 'February' => 2, 'March' => 3, ...);

裸のワード (bareword) が使える:

%months = (January => 1, February => 2, March => 3, ...);

ハッシュ全体の処理

基本的な方法: foreach を使う:

• キーを使う:
  foreach $key (keys %hash) { ... }
• キーを順番に辿る:
  foreach $key (sort keys %hash) { ... }
• 値だけを使う:
  foreach $value (values %hash) { ... }

ハッシュの要素の存在

存在のチェック:
if (defined $hash{"key"}) { ... }

完全な取消:
delete $hash{'key'};

値を無定義にするだけ:
undef $hash{'key'};

二重ハッシュ等

ハッシュと配列の要素の参照は二重以上使える:

• 二重ハッシュ:
  $BMI{'Konishiki'}{weight} = 250;
• ハッシュと配列:
  $months[6]{sales} = 150000; # 売り上げ
$monthlength[2]{leapyear} = 29; # 閏年
• 二重配列も可能

注意: 同じ変数名を使うには限界がある (例: $m[1]{xxx} と $m[1][5] は同時には使えない)

演習

• 月名のハッシュを作って、使う (日本語の旧月名 (睦月など) とか外国語の月名を使う)
• BMI のデータのファイルを読み込んで、同じ人に複数の情報がある場合に警告を出す
• 同じファイルを二重ハッシュに読み込んで、ある人だけの BMI を印刷する
• 自分の身の回りのデータをハッシュに納めて、面白い計算・処理に使う