プログラミング基礎 II

第九回 (2006年12月 4日)

事前計算: 変数の使い方

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2006/PB2/lecture9.html

Martin J. Dürst

duerst@it.aoyama.ac.jp

O 棟 529号室

© 2006 Martin J. Dürst 青山学院大学

今日の予定

• 先週の復習と演習
• 複数の文書の組み合わせ
• 名前空間 (復習)
• 変数の使い方
• XSLT のデータ型
• 演習

先週の復習

• 並び換えは色々便利な応用がある
• XSLT で並び換えの指定が簡単:
  • <xsl:apply-templates> 内に
  • <xsl:sort> を使って
  • @select で並び換えに使うもの (例: 値段、ページ数) を指定
  • 他の属性 (@data-type, @order など) で詳細を指定

先週の演習

以前作った変換ファイルを使って、本を ISBN 順や値段順や著者の数順など、そしてそれぞれの組み合わせの並び換えの変換ファイルを作ってください。

複数の文書の組み合わせ

• データは複数の文書にある可能性がある
• 例:
  • 本のデータ、注文のデータ、送料のデータ
  • 学生のデータ、授業のデータ、教室のデータ
• 「メイン」のデータファイルは以前と同様にコマンドプロンプトで指定
• 「予備」のデータファイルは document() 関数で呼び込む

document() 関数

• 関数 (function) は XPath の機能 (例: not(...), last())
• 関数が値を戻す: 戻り値 (もどりち)
• 関数に引数 (ひきすう) がある (数は 0 以上)
• document() 関数の引数はファイル名である
  例: document('books.xml')
• document() 関数の値はそのファイルに入っている XML 文書のルートである
• ルートから XPath の他の機能が使える
  例: document('books.xml')/books/book[@isbn='4-...'] である決まった ISBN の本の選択

名前空間 (復習)

• 複数の文書に似た要素名などが出現可能
• 名前空間で識別されることが多い
• 名前空間は xmlns:接頭辞="名前空間URI" で指定
• 接頭辞無しの場合には xmlns="名前空間URI"
• 名前空間は 接頭辞:要素名 などで使用
• 名前空間の同一性は接頭辞ではなく名前空間URI で決定

名前空間の例

order.xml:

<order xmlns='http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2006/PB2/order'> ...
  <books>
    <book isbn='4-641-16210-7' number='1'/> ...

books.xml:

<books>
  <book><property><title>...

orders.xsl:

<xsl:transform xmlns:xsl='http://www.w3.org/1999/XSL/Transform'
   xmlns:o='http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2006/PB2/order' version='1.0'>
  ... <xsl:apply-templates select='o:order'/>
  ... <xsl:template match='title'>

変数の作り方

• 変数では一回計算した値を取っておいて、何回でも使える
• XSLT の変数は数学と同様に、一旦決まったら変更は不可能
• 変数に名前が付く
• 変数の作り方: <xsl:variable>
  • <xsl:variable name='my値' select='...' />: 変数の値は @select の結果
  • <xsl:variable name='my値'>...</xsl:variable>: 変数の値は要素の内容

変数の使い方

• 変数は名前の前に $ を付けて使う
• 例: @isbn = $order_isbn

XSLT のデータ型

(data types)

XSLT の変数、XPath の式などに数種類がある:

• 文字列 (string)
• 真理値 (boolean, 真又は偽)
• 数字 (number)
• ノードセット (ノードの順番付き集合、node set)
• ツリー (tree)

データ型の間の変換はある程度自動的に実行

<xsl:value-of> 要素

• <xsl:apply-templates> の @select はノードセットでないといけない
• 文字列だけを出力するときには <xsl:value-of select=''> が使える
• 例: <xsl:value-of select='@price * @number'/>

演習

提出: 12月10日 (日曜日) 22:00 までに Moodle に投稿

order.xml の注文を HTML で分かりやすいように変更する。注文票に本の題名、著者、値段などをbooks.xml から引用し、本ごとの小計 (冊の数 * 単価) を計算し、表で出力する。

注意: books.xml を変更しましたので、更新してください。

条件: 同じ処理を繰り返さないように、そして XSLT が読みやすいように、変数を一つだけではなく三つぐらい使ってください。

ヒント: 途中までの変換ファイル: myorders.xsl