プログラミング基礎 II

第十一回 (2009年 12月21日)

繰り返し

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2009/PB2/lecture11.html

Martin J. Dürst

duerst@it.aoyama.ac.jp

© 2006-9 Martin J. Dürst 青山学院大学

今日の予定

• これからの予定
• 前前回の復習と演習
• 繰り返しの概要
• 自然な繰り返し
• 明示的な繰り返し: <xsl:for-each>
• XSLT のパターン
• 出力を明示的に作る: <xsl:attribute> など
• 演習

これからの予定

• 1月14日 (木曜日、補講、確定)
• 1月19日 (月): 13回目の授業
• 1月25日 (月): 期末試験 (13:10-14:10)

前回の復習

• 分類の目的
• 自然な分類: 述語
• 明記的な分類 (一種類の選択の場合): <xsl:if>
• 明記的な分類 (複数の選択の場合): <xsl:choose>

前前回の演習

• order.xml の注文を分かりやすいような (X)HTML に変更
• 注文票に本の題名、著者、値段などをbooks.xml から引用し、本ごとの小計 (冊の数 * 単価) を計算し、表で出力
• 条件: 同じ処理を繰り返さないように、そして XSLT が読みやすいように、変数を一つだけではなく三つぐらい使用
• ヒント: 途中までの変換ファイル: myorders.xsl
• 正解例: orders.xsl, 出力例: orders.html

繰り返しの目的と概要

• 複数のものに対し同じ処理を行うときがある
• 一個一個に対し処理を繰り返せばよい
  例: 複数の本の処理
• XSLT は処理の順番ではなく、出力の順番だけが決まっている
• そのため、「繰り返し」でも、「並列処理」でも考えてよい

自然な繰り返し

• <xsl:apply-templates> で複数のものの処理が可能
  例: <xsl:apply-templates select='book'/>
• 出力の順番は入力文書の順番 (又は <xsl:sort> で指定)
• これは自然な繰り返し
• 自然な繰り返しを優先した方がいい (XSLT の特徴を生かす)
• 限界の場合や使えない場合がある

明記的な繰り返し: <xsl:for-each>

• 書き方: <xsl:for-each select='条件'>結果</xsl:for-each>
• 効果: <xsl:apply-templates> に <xsl:template> の内容をいれたもの
• 内部の先頭に <xsl:sort> で順番が変更可能
• 必要な場合:
  • 通し番号による処理の変更
  • 名前空間ノードの処理 (showXML.xsl 参照)

<xsl:for-each> と現在のノード

• <xsl:for-each> の内部には現在のノードは繰り返しの対称ノード
• 正しい例:

  <xsl:for-each select='book'>
    <xsl:apply-templates select='data/@ISBN'/>
    ...
  </xsl:for-each>

• 間違った例:

  <xsl:for-each select='book'>
    <xsl:apply-templates select='book/data/@ISBN'/>
    ...
  </xsl:for-each>

<xsl:for-each> と position() など

• <xsl:for-each> の内部で position() は「全体の何番目」を指す
• 同じく、last() は全体の数を指す
• 順番を保ちながら番号による処理が可能
• 例:

  <xsl:for-each select='book'>
    <xsl:choose>
      <xsl:when test='(position() mod 2) = 0'>
        <tr><xsl:apply-templates select='.'/></tr>
      </xsl:when>
      <xsl:when test='(position() mod 2) = 1'>
        <tr style='background-color: lightgreen'>
          <xsl:apply-templates select='.'/></tr>
      </xsl:when>
    </xsl:choose>
  </xsl:for-each>

XSLT の処理のパターン

• Push 型処理 (push processing)
  • <xsl:apply-templates> で「誰かやってくれ」と要素を次々押し出す
  • XSLT 特有の処理
  • 要素ごとに独立に処理が決められる
  • 変換ファイルの拡張・組み合わせが余裕
  • 自然文書 (例: Web ページ、レポートなど) の処理に最適
• Pull 型処理 (pull processing)
  • <xsl:for-each> や <xsl:value-of> で必要な処理や内容を明示的に指定 (引っ張り込み)
  • 「一般」のプログラム言語と類似
  • 複数の処理が一か所で決定
  • データの処理に適している (特に一部欠落のデータの正常化)

<xsl:attribute>

• 属性を明示的に出力可能
• 属性名は @name で、属性値は <xsl:attribute> の内容で指定
• 要素の内容の前に指定しないといけない
• XSLT の指示を使ってもよい
• 例: <xsl:attribute name='style'>background-color: lightgreen</xsl:attribute>
• 同様に <xsl:element>, <xsl:text>, <xsl:comment> などがある

演習 1

提出: 12月25日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に投稿

本をテーブルとして出力する変換ファイルを次のように変更する:

• 見やすいように、行ごとに背景色を変える (例: 偶数行と奇数行に別の背景色)
• 簡単に書くように、<xsl:attribute> を使用する
• 何か決まった順番にする

(ソートしない限り、同様なものは <xsl:apply-templates> と <xsl:template> でも可能)

演習 2

提出: 12月25日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に投稿

今まで使った簡単な変換ファイルをベースに、<xsl:apply-templates> を少しずつ <xsl:for-each> (や <xsl:value-of>) に変換。

注意: この演習はあくまで <xsl:apply-templates> と <xsl:for-each> の関係や複数の <xsl:for-each> の限界を実感するためのもので、このような「団子変換」をこの演習以外に絶対使って欲しくない。