プログラミング基礎 II

第十三回 (2012年1月16日)

正規表現

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2011/PB2/lecture13.html

Martin J. Dürst

今日の予定

これからの予定
前回の復習・演習
正規表現の概要
正規表現の書き方
正規表現の使い方
演習

これからの予定

1月19日 (木曜日3限、補講): 14回目の授業 (補講についての注意)

期末試験: 1月23日 (3限、13:10-14:10)

期末試験の内容:

授業の内容全体
プリント
演習問題や解答例

過去問: 2010年度

前回の復習

プログラムの開発方針:
- トップダウン
- ボトムアップ
- テストベース
便利なイテレータ:
- inject
- group_by
発展技術: 引数としてのブロック

前回の演習 1

提出: 12月23日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に famous_stats.rb のファイル名で投稿

有名人のデータから次の統計を計算し、出力しなさい。

肥満度 (height, weight, normal, obese) ごとに人数、平均の体重、平均の身長、平均の BMI
全体の人数、平均の体重、平均の身長、平均の BMI

注意: 肥満度ごとにプログラムをコピペしないで、イテレータを使う

ヒント:

group_by で肥満度ごとに分割
inject で体重などの合計を計算

発展問題: 平均を計算できる関数を作って使う

正解例: famous_stats.rb

前回の演習 2

これから自分が書きたいプログラムの概要・応用を文書 (.txt ファイル) で説明しなさい。

条件:

今までこの授業でやったプログラムと根本的に似たもの
今までこの授業でやったプログラムより少し発展したもの
データが簡単に手に入って、授業の一環として使えるようなもの

今回への準備

授業全体の内容を復習し、分からない部分をリストアップ

今までの文字列操作の限界

文字列の中から数値を取り出したい
文字列に複数の単語を置き換えたい

正規表現の概要

(regular expression)

探したいものをパターンで表現
文字列内にパターンを感知 (マッチ)
パターンに従う文字列の操作
多くのプログラム言語で使用可能
(一部のプラグラム言語でライブラリが必要)
プログラム言語内の小さいプログラム言語に相当
Ruby で非常によく使用

正規表現の例

パターンの感知
if height_text =~ /^[0-9]+(cm)?$/
height_text に一つ以上の数字の後に cm が含まれている場合
文字列内の置き換え
text.gsub /[Pp](erl|ython|HP)/, 'Ruby'
文字列 text 内の Perl、Python、PHP を全て Ruby に置き換える

正規表現の記法

/.../ で、/ に挟む
/.../ の後オプションとして文字が来る可能性がある
(例: /.../i で大文字・小文字の差を無視)
特殊文字 (要注意): ., |, +, *, ?, (, ), [, ], {, }, ^, $, -, \
(特殊な意味で使われる文字)
特殊文字を使いたい場合、前に \ を付ける
(例: /[0-9]+\.[0-9]+/ 小数点数で、小数点は . は特殊文字なので \ を使用)

場所の指定

先頭の ^: 文字列の先頭だけでマッチを試みる
最後の $: 文字列の終わりだけでマッチを試みる
例: /^[0-9]+(cm)?$/
(^ と $ がなかったら他に変なものがないか感知できない)

文字の指定

特殊文字以外の文字はそのまま指定
(例: /Ruby/ は文書内に Ruby の文字列を感知)
特殊文字の場合、前に \ を付ける
. は一文字にマッチ (どの文字でも良い)
[abc] は [] 内のいずれかの文字 (この場合、a、b 又は c) だったらマッチ
(具体例: [Pp] 大文字又は小文字の P)
[0-9] はその間の全ての文字にもマッチ (例は [0123456789] と同じ)
([a-z] は半角小文字、[A-Z] は半角大文字)
[...] で表されているものは文字クラスと呼ぶ

繰り返しの指定

+ では一回以上マッチ
(/^R+$/ は 'R'、'RR'、'RRR'、'RRRR' などにマッチ)
* では 0 回以上マッチ
(/^R*$/ は ''、'R'、'RR'、'RRR'、'RRRR' などにマッチ)
? では 0 回又は 1 回マッチ
(/^R?$/ は '' と 'R' にマッチ)
繰り返しの対象はその直前の一文字、文字クラス、又は () で囲まれた正規表現の部分

正規表現の使い方: チェック

正規表現と文字列は演算子 =~ でチェック
マッチしたら、結果は最初にマッチした文字の番号 (先頭は 0)
(/Ruby/ =~ 'Hello Ruby!' → 6)
マッチしなかったら、結果は nil
(/Ruby/ =~ 'Hello World!' → nil)
正規表現 =~ 文字列 も 文字列 =~ 正規表現 も同じ
!~ は not ... =~ ... と同じ
/Ruby/.match('Hello Ruby!')
結果が MatchData クラスのインスタンス

正規表現の使い方: 置き換え

文字列.sub(正規表現, 置き換え文字列)
最初にマッチしたところを置き換える
文字列.gsub(正規表現, 置き換え文字列)
全てのマッチしたところを置き換える (g は global の意味)

演習 1

次の文を irb に入れ、正規表現とその使い方を試してみてください。

/abc/.class
/ruby/ =~ 'ruby'
/^ruby$/ =~ 'ruby'
/ruby/ =~ 'Ruby'
/ruby/ =~ 'Hello, ruby is great!'
/^ruby/ =~ 'Hello, ruby is great!'
/ruby/ =~ 'Hello, Ruby is great!'
/ruby/i =~ 'Hello, Ruby is great!'
/[Rr]uby/ =~ 'Hello, Ruby is great!'
'Perl and Python are great!'.sub /[Pp](erl|ython|HP)/, 'Ruby'
'Perl and Python are great!'.gsub /[Pp](erl|ython|HP)/, 'Ruby'

ヒント: irb 内にカーソルキー(←↑→↓) を使って、長い例を全部再入力しないようにする

演習 2

次の正規表現のマッチする文字列とマッチしない文字列を irb を使って見つけなさい。

/^Hello$/
/^Hel+o$/
/^Hel*o$/
/^Hell+o$/
/^Hell?o$/
/^He(ll)+o$/
/^He(ll)+o$/
/^He(l+o)+$/

他にもいろいろ試してみてください。

演習 3

提出: 1月18日 (水曜日) 22:00 までに Moodle に famous_regexp.rb のファイル名で投稿

有名人のデータから正規表現を使って特殊な有名人を探し出してください。例:

女優/俳優/声優
内野手/外野手/投手など
名前の最後の字 (例: 子、美など) で女性だと思われる有名人

その他や複数のものも可能。何を出力するのか出力に明記しなさい。