プログラミング基礎 I

第二回 (2012年 4月16日)

XML の部品、日本語など世界の文字の扱い方

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2012/PB1/lecture2.html

Martin J. Dürst

今日の予定

先週からの準備、宿題
XML の主な部品: 要素、属性、XML 宣言
XML と文字コード
演習

先週からの準備と宿題

Moodle のアカウント作成と授業登録
自分のパソコンへのソフトのインストール
演習: XML 文書の作成 (締切延長: 4月16日 (月) 22:00)

先週の XML の例

<?xml version="1.0" ?>
<Letter date="2012-04-09">
    <to>Students</to>
    <from>Martin</from>
    <Title>Reminder</Title>
    <Text>Please don't forget
        your homework.</Text>
</Letter>

XML の主な部品

要素 (element)
属性 (attribute)
XML 宣言 (XML declaration)

XML の部品: 要素

(element)

例: <to>Students</to>

要素は普通「開始タグ」(start tag, <to>) で始まり、「終了タグ」(end tag, </to>) で終わる
開始タグは < で始まり、> で終わる
終了タグは </ で始まり、> で終わる
要素には要素名 (element name, to) がある
要素名は開始タグと終了タグで一致 (<to>Students</from>)
開始タグと終了タグの間には要素の内容 (content, Students) がある

要素の例の分解:

要素:: <Title>Reminder</Title>
開始タグ:: <Title>
終了タグ:: </Title>
要素名:: Title
内容:: Reminder

要素の入れ子構造

要素の内容は単なるテキストと更なる要素
要素は他の要素の開始タグ、終了タグだけを囲むことが不可能
悪い例: abcdefghi良い例: abc<s>def</s>ghi
言い換えれば、最後に開いた要素は最初に閉じなければいけない

XML の部品: 属性

(attribute)

要素の開始タグには要素名の後に属性が使える
例: <Letter date="2012-04-09">
属性はスペース (半角!) で区切る
属性名 (attribute name, date) と属性値 (attribute value, 2012-04-09) の間に「=」が入る
属性値は両側同一の「"」もしくは「'」で囲む
正: date='2012-04-09' 又は date="2012-04-09"
誤: date="2012-04-09'、date='2012-04-09"、date=2012-04-09

属性の例の分解:

要素の開始タグ:: <Letter date="2012-04-09">
属性:: date="2012-04-09"
属性名:: date
属性値:: 2012-04-09

空の要素の書き方

要素に内容がない場合、
<example></example> は
<example/> に省略可能

属性がある場合:

<example type='simple'></example>
⇒ <example type='simple' />

要素名と属性名

大文字と小文字は別物 (例: <to>Students</To>)
日本語も世界の他の言語の文字も使用可
半角カナ、全角ローマ字、中点 (・) など一部の文字は使用不可
最初の文字として数字は使用不可 (漢数字は可)
名前の中にはスペースは使用不可

少々長くても分かりやすい名前がとても大事

XML 宣言

(XML declaration)

<?xml version="1.0"?>

文字符号化の指定の場合:

<?xml version="1.0" encoding="文字符号化" ?>

encoding で指定したものと実際の符号化が合わないといけない!

(バージョンが 1.0 で、符号化が UTF-8 (又は UTF-16 か別途指定) の場合には XML 宣言が無くてもよい)

(綴りに注意: encording)

文字コード

(Character encoding)

文字をコンピュータの中で表す方法が複数存在
そういう方法は「文字符号化」や「文字コード」という
文字符号化には正式なラベルと色々な名前・あだ名がある
encoding では必ず正式なラベルを使用 (大文字・小文字は問わない)

文字符号化の種類

US-ASCII: ローマ字と一部の特殊文字だけ。ほぼ世界全体で使用
Shift_JIS (シフト JIS、SJIS): PC や MacIntosh で伝統的な日本語用の符号化
EUC-JP (EUC): UNIX/Linux などで伝統的な日本語用の符号化
iso-2022-jp (JIS): 電子メールなどで伝統的に使われている日本語用の符号化
UTF-8: ユニコードに基づく世界の文字を (ほぼ) すべて扱える符号化; US-ASCII と互換
UTF-16: UTF-8 と似ているが、US-ASCII と互換でない

文字を数字で表す

XML では文字符号化と関係なくテキスト (要素の内容と属性値) でユニコードのすべての文字を、数字を使って表せる (要素名などを抜く)

書き方:

十六進数 (普通): ꯍ
十進数 (例外): 〹
十六進数は 0-9 以外にA-F (もしくは a-f) も使う
&#x の x は小文字でないといけない (正: ꯍ, 誤: &#XAbCd;)
& そのものは & で表す。他に < (<), > (>), ' ('), " (") がある

文字コードの関係

文字コード	対応するエディター	使える文字	使えない文字
`US-ASCII`	メモ帳、notepad2	abc..., ABC..., 123...	その他の多くの文字
`UTF-8`	メモ帳、notepad2	世界「すべて」の文字	一部の歴史的な文字
`Shift_JIS`	メモ帳 (最新の notepad2)	漢字第一、第二水準など	ü など日本語以外の文字

演習

注 1: 1 から 5 までの演習が段階的に進む

注 2: 途中経過 (エラーを含む) をよく確認する

メモ帳で XML 文書に日本語を入れる
特殊文字の追加
文字を数字で表す
要素名、属性名も日本語にする
演習結果の確認と Moodle へのアップロード

演習 1: XML 文書に日本語を入れる

先週作った XML 文書を「メモ帳」
(notepad2 ではなく!) で開く
文書の一部を日本語に変更する
上書き保存
IE で確認 (エラーになるはず)
XML 宣言を次に変更:
<?xml version="1.0" encoding="shift_jis"?>
IE で確認 (エラーが消えるはず)

演習 2: 特殊文字の追加

<from> 要素の内容を「Martin J. Dürst」に変更する (ヒント: 名前の書き方の「MS IME」参照)
「メモ帳」で上書き保存 (警告を無視)
IE で確認 (ü が u になっているはず)
「メモ帳」で名前をつけて保存;「文字コード」で「UTF-8」を選択 (「ファイルの種類」を「すべてのファイル」にし、拡張子を .xml に)
IE で確認 (エラーになるはず)
XML 宣言を次に変更:
```
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?>
```
IE で確認 (エラーが消えるはず)

演習 3: 文字を数字で表す

演習 2 のファイルを Notepad2 で開く
Notepad2 の「ファイル」→「エンコード」→「UTF-8」 (with signature ではない方!) に設定する
<to> 要素の内容を「Students」から自分の名前に変更
IE で確認
自分の名前一字一字を数字 (十六進数) で表す
(ヒント: IME パッド→文字一覧→Unicode→CJK 統合漢字で探す。文字にマウスを合わせるとUnicode: U+ABCD などの番号が出る。これを ꯍ として XML 文書に入れる)
IE で確認

演習 4: 要素名、属性名も日本語にする

文書全体 (<from> の内容以外) を日本語にする
要素名も日本語にする
属性名も日本語にする
ヒント: 作業中頻繁に IE や Opera で確認

演習問題・宿題のアップロード

締切: 2012 年 4月 20日 (金曜日) 22:00

提出方法: Moodle にアップロード

確認点:

要素名、属性名、文章の内容が日本語 (XML 宣言はローマ字のまま)
<to> に相当する要素の内容が数字で表した自分の名前
<from> に相当する要素の内容が「Martin J. Dürst」
IE でエラーなく表示される

次回のための準備

自分のパソコンにソフトをインストール
今日出来なかった演習を宿題として完成
出来た文書を電子的に保存
(Z:\ ドライブや USB メモリ)