情報数学 I
第一回:
情報テクノロジーでの数学の役割と重要性
Martin J. Dürst
duerst@it.aoyama.ac.jp
O 棟 529号室
テュールスト マーティン ヤコブ
http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2005/Math%20I/lecture1.html
© 2005 Martin
J. Dürst 青山学院大学
今週の目的
- 授業全体の構成と進み方について
- 始めのテーマ: 命題
自己紹介
授業の位置づけ
- 基礎科目
- 正式には選択必修だが、事実上必修と考えてください
- 情報テクノロジーの初めての本格的な授業
情報数学とは
- 「物理数学」や「生物数学」などと同様に、情報数学は一般の数学とかけ離れた別のものではない
- 情報テクノロジーの様々な分野において様々な数学の分野が基礎となる
- 情報数学と言われるのは:
- 情報テクノロジー全般で特に基礎と思われるもの
- 一般の数学の授業であまり教えられてないもの
情報テクノロジーの分野と数学の分野の関係 (例)
- 確率: 情報通信、自然言語処理
- フーリエ解析: 画像処理、音声処理
- 幾何学、線形代数:
コンピュータグラフィクス、ロボット工学
- 言語理論: プログラム言語、コンパイラ
- 整数論: 暗号学
情報数学 I と情報数学 II
数学の考え方
- 数学は言語である
- 数学は道具である
- 数学は考え方である
言語としての数学
- 言葉もあるが、記号が多い
- 他の言語に比べて、正確で簡潔である
- 使う記号に若干方言もある
- 他に情報テクノロジーに大事な言語?
授業の進み方
- 資料はウェブに載せてある
- 資料は完全なものではなくて、書き込みが必要
- 分からない時いつでも質問してよい
- 宿題の種類:
- 提出不要: やると必ず勉強になる
- 提出必要: 次回の授業の始めに提出
成績評価方法
おおよその割合:
- 授業中のミニテスト: 20%
- 演習課題: 30%
- 期末試験: 50%
命題
(proposition 又は statement)
正しいか正しくないかが客観的に決められる文。
命題の例:
- 2 掛ける 2 が 4 である。
- 10 が 5 より小さい。
- 明日 (2005/10/1) は淵野辺に雨が降る
反例 (命題ではない):
- 彼女の誕生日は今日 (2005/9/30) である。
- 今朝いつ起きましたか。
- 納豆は美味しいです。
命題の真偽
命題は正しいか正しくないかである。
「正しい」は「真」(しん、true) とも言って、1、T や ⊤
とも書く
「正しくない」は「偽」(ぎ、false) とも言って、0、F や
⊥ とも書く
命題の組み合わせ: 「かつ」
二つの命題 A と B
があるとすると次の命題が作れる:
A かつ B。(A AND B)
これは「A ∧ B」と書く。
真偽表
命題の真偽を定義したり、証明したり、調べたりするには真偽表がよく使われている:
「かつ」の真偽表
A |
B |
A ∧ B |
T |
T |
T |
T |
F |
|
F |
T |
|
F |
F |
|
次回までの宿題 (提出不要)
- 命題の例と命題ではない文の例をそれぞれ五つを作ってください。「かつ」も含めてよい。
- 「かつ」の真偽表を完成させてみて下さい。一般論ではなくて、複数の例を使って考えてください。