第四回: 正規表現と字句解析
2008年 5月 2日
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duerst@it.aoyama.ac.jp, O 棟 529号室
© 2005-8 Martin J. Dürst 青山学院大学
これらは全て同じ力を持って、正規言語を定義・受理する
これらは字句解析に使われる
規則の形 | 名称 |
A → aB | 右線形規則 |
A → Ba | 左線形規則 |
A → a | 定数規則 |
左線形文法: 左線形規則と定数規則しか含まない文法
右線形文法: 右線形規則と定数規則しか含まない文法
左・右線形文法はともに線形文法と言い、正規文法とも言う
右線形文法と NFA の対応 (ε が考慮外):
左線形文法も同様 (語を右から読み込むと考えられる)
A → aB | bA
B → bA | a | aC
C → bA | a | aC
計算機実習 I の演習問題: ある文章中に
&
, "
, '
,
<
, >
を見つけて、それぞれを &
, "
,
'
, <
, >
に変換せよ。
Ruby で書くと次のようになる:
gsub /"/, '"' gsub /'/, "'" gsub /</, '<' gsub />/, '>' gsub /&/, '&'
優先度 | 正規表現 | 条件 | 言語 | 備考 |
---|---|---|---|---|
ε, a | a ∈ Σ | {ε} 又は {a} | ||
低い | r|s | r, s が正規表現 | L(r|s) = L(r) ∪ L(s) | 集合和 |
低め | rs | r, s が正規表現 | L(rs) = L(r)L(s) | 連結 |
高め | r* | r が正規表現 | L(r*) = (L(r))* | 閉含 |
高い | (r) | r が正規表現 | L((r)) = L(r) |
L(r) は r によって表されている言語。優先度は下の方が強い。
ある正規表現が定義する言語は文法でも書けるが、正規表現は文法と違って規則は一つしか使わない。
正規表現 (全ての正規表現の集合) も言語であるが、正規言語ではない。
word
(aa)*a
)、偶数
((aa)*
)、3で割れば余りが 2
(aa(aaa)*
)、等abc(a|b|c)*
(a|b|c)*abc
(a|b|c)*abc(a|b|c)*
正規表現の便利な追加機能 (括弧内は相当の理論的な正規表現)
.
: 文字一個 (a|b|c|
...)+
: 一個以上の r
(rr*
)?
: r の有無 (r|ε,
その代わり ε は使わない){
m,
n}
:
m 個以上 n 個以下の r
(r...rr?
...r?
)[acdfh]
: 複数の文字から選択
(a|c|d|f|h
)[b-f]
: b から f の字 (b|c|d|e|f
)\*
等: \
はエスケープに使われる正規表現の使い方による変更
^
と $
で語の先頭と最後をマッチ正規表現に対応する NFA は正規表現の部分表現から再帰的に作られる。
ε と a に対応する NFA は初期状態一つと受理状態一つとそれを結ぶ ε 又は a と書かれた矢印。
r|s の NFA は r の NFA と s の NFA から次のようにつくる:
rs の NFA は r の受理状態と s の初期状態を ε で結んで、r の初期状態は rs の初期状態、s の受理状態は rsの受理状態。
r* の NFA は次のようにつくる:
変換は可能が、複雑
変換の原理:
字句解析 (lexical analysis)
構文解析 (parsing; syntax analysis)
意味解析 (semantic analysis)
最適化 (optimization)
コード生成 (code generation)
前半 (解析) もしくは全体は構文解析が中心
構文解析は getNextToken() みたいな関数で字句解析から必要におおじてトーケンを取り寄せる
構文解析は必要におおじて意味解析などを呼ぶ
主な要点:
選択肢:
(提出不要)
(a|c*)a|b
予定:
準備: