データ構造とアルゴリズム
第五回 (2008年10月
24日)
分割統治法、マージソート
http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2008/DA/lecture5.html
Martin J. Dürst
© 2008 Martin
J. Dürst 青山学院大学
目次
- 先回のまとめ・演習・宿題
- 整列の重要性
- 単純な整列法
- Ruby の繰返し
- 分割統治法
- マージソート
先回のまとめ
- 順位キューは大事な抽象データ型
- 配列や連結リストによる実装は効率悪い
- ヒープでは最優先の項目が完全二分木の根に出現
- ヒープソートによって整列が可能
前回からの宿題
- ヒープの合併を実装しなさい
- 小さい方のヒープの項目を大きい方に追加
- 二項ヒープ (binomial heap)
- 情報テクノロジーでの整列 (sort)
の応用を五つ考えなさい
整列の重要性
- 出力の様々な整理
- 検索 (例: 二分探索) の前提
- アルゴリズムの部品
単純な整列方法
- バブル整列法 (bubble sort)
- 選択整列法 (selection sort)
- 挿入整列法 (insertion sort)
Ruby の様々な繰返し
一定数の繰返し
構文:
回数.times do
# 何かの作業
end
応用例:
(length-1).times do
# bubble
end
指数を使った繰返し
構文:
出発値.upto 目的値 do |指数変数|
# 指数変数を使った作業
end
応用例:
sum = 0
1.upto 100 do |i|
sum += i
end
バブル整列法
(bubble sort)
- 隣接の項目を比較、交換
- 配列の先頭から最後までで一つのパス
- 必要なパスの数が n-1
- 計算量は O(n2)
改良:
- 交代で両方向にバブル
- 最後の交換点を記憶、交換のチェックの範囲を限定
選択整列法
(selection sort)
- 配列の先頭に整列済みの部分を徐々に拡大
- 整列済みでない最小の項目を繰返し検索、選択
- 整列済みの部分の直後の項目と最小の項目を交換
- 交換の回数は O(n)
- 比較の回数と全体の計算量は
O(n2)
挿入整列法
(insertion sort)
- 配列の先頭に整列済みの部分を徐々に拡大
- 整列済みの部分の直後の項目の場所を整列済みの部分に探す
- 場所を空けるために整列済みの項目の一部をずらす
- 計算量は (最悪で) O(n2)
- 既に殆ど整列されたデータの場合に有利
改良: 番兵 (sentinel) の使用:
最初の項目の前に全ての項目より小さいものを設置
分割統治法
(divide and conquer, ラテン語: divide et impera)
- 軍事戦略や戦術の用語
- 一つの大問題を複数の小問題に分割
- プログラミング一般の大事な原則
- アルゴリズムやデータ構造の一つの設計方針
マージソート
(merge sort)
- 整列対処を再帰的に二分割
- 分割したものから整列
- 項目数一の場合、整列済み
- 分割し、整列したものを併合 (merge) で統合
併合
(merge)
- 2 ウェイ併合 (two-way merge) とマルチウェイ併合
(multi-way merge)
- 二以上の整列済みの列から一つの整列済みの列を作成
- 入力の列のどちらか小さい方の項目を次々と選択
- 最後にどちらかの列の項目が残るのでコピー
マージソートの計算量
整列の計算量
- 単純な整列法以外、整列の計算量は O(log
n) が多い
- 整列では比較と移動が基本操作
- n 個のデータの場合、異なる順番は
n!
- 一つの比較では異なる順番を最大で半分に減らされる
- 最低の比較の数が log (n!)
マージソートの特長
- メモリが二倍必要
- 内部より外部メモリに最適
- 外部メモリ:
- パンチカード
- 磁気テープ
- ハードディスクのファイル
次回のための準備
- 先週と今週の整列法を線形探索で使った方法で調べなさい