情報数学 I
第八回 (2009年11月27日)
関係の応用
Martin J. Dürst
http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2009/Math1/lecture8.html
© 2005-09 Martin
J. Dürst 青山学院大学
今日の予定
- 前回の復習
- 関係の種類・性質
- 同値類
- 推移的閉包
- 半順序と全順序
前回の復習
A の中の関係 R
に対して次の性質がありうる:
- 反射的 (reflexive): xRx; x∈A ⇒
(x, x) ∈ R
- 対称的 (symmetric): xRy ⇒ yRx ; (x,
y) ∈ R ⇒ (y, x) ∈
R
- 反対称的 (antisymmetric): xRy ∧ yRx ⇒
x=y
- 推移的 (transitive): xRy ∧ yRz ⇒
xRz
半順序
- 反射的、反対称的、かつ推移的な関係を半順序関係
(semiorder relation) と言う
- 単に順序関係 (order relation) とも言う
- その順序関係が定義された集合を半順序集合 (semiordered
set) あるいは単に順序集合と言う
- 順序関係によく ≤ の記号が使われる
- 順序関係 ≤ に対して、順序関係 ≥
を双対な関係という
順序関係の例
- 1
以上の整数やその部分集合の「割り切れる」と言う関係
- 大相撲の場所で勝ち負けが矛盾しない場合
- テニスみたいな勝ち抜けトーナメント
- 複数の仕事で、一部前後関係がある仕事の関係
- 授業で「前にとっておかないと取れない」授業の関係
順序関係の表現: ハッセ図
有向グラフからハッセ (Hasse) 図への変換:
- 反射的矢印を省略
- グラフを矢印が全て紙面の下辺に向けるように配置
- 推移的閉包で復元可能な矢印を省略
- 矢印の頭の部分を省略
例 1: 上記 1. から 4. の前後関係
例 2: {10, 5, 3, 2, 1} の「割り切れる」関係
同値関係と半順序の行列表現
- 集合 A の元の順番は任意
- 行列表現で行と列を同時に置き換えるのが可能
- 置き換えで、同値類は次の形に変更可能:
- T がある数の正方形にまとまる
- 正方形の中心点は対角線上に
- 正方形がお互いに共通項目を持たない
- 対角線は全て T (正方形内)
- 置き換えで、半順序は次の形に変更可能:
全順序
ある集合 A の全ての元 a と b
に対して a≥b 又は a≤b
が成り立つ場合にはその順序関係を全順序関係、あるいは線形順序関係という
例: 整数、実数など; 日付や時間; 辞書での単語の順番