プログラミング基礎 II

第三回 (2009年10月19日)

XPath の基本: 要素の簡単な選択

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2009/PB2/lecture3.html

Martin J. Dürst

duerst@it.aoyama.ac.jp

© 2006-9 Martin J. Dürst 青山学院大学

目次

• 前回のまとめ・演習・宿題
• XPath の目的
• XPath の簡単な例
• ノードセット
• 軸、ノードテスト、述語
• 演習

前回のまとめ

• XSLT は XML の処理を木構造を使って行う
• 木構造のノード (節) の 7種類:
  ルート、要素、属性、テキスト、コメント、処理命令、名前空間
• 名前空間は名前空間 URI、修飾名 (接頭辞:ローカル部) からなる
• 接頭辞は任意である
  

前回の演習 1: 名前空間の変更

1. ある XSLT 変換ファイルの xsl 接頭辞を別のものに変更し、実行してみる
2. ある XSLT 変換ファイルの XSLT 名前空間を変更し、実行してみる

どちらか処理が成功した方を Moodle にアップロードしなさい

成功するのは 1番。例えば
<hoge:transform xmlns:hoge='http://www.w3.org/1999/XSL/Transform'...
でも変換が動作する (hello-hoge.xsl 参照; 注: 全ての接頭辞を変更しないと失敗)

名前空間 URI は http://www.w3.org/1999/XSL/Transform と一致しないため、2番は失敗 (hello-2000.xsl 参照)

演習 2: 木構造から XML 文書への変換

配布された木構造から XML 文書を作りなさい

配布された木構造には空白ノードが無いが、XML 文書として読みやすい様に改行、字下げを追加しなさい

Moodle にアップロードしなさい

正解例: nodes.xml

XPath の目的

• XML の木構造の中の道の指定
• XSTL はあらゆるところで XPath を使用
• XSLT 以外にも XPath が使用されているので仕様書は独立

XPath の簡単な例

• /books: トップの books 要素
• /books/book: books の下の (全ての) book 要素
• /books/book[5]: 五番目の book 要素
• book[5]/data/@ISBN: 五番目の book 要素の data 要素の ISBN 属性
• book[data/@ISBN]: ISBN 属性のある book 要素
• book[data/@ISBN="1-23456-7890"]: ISBN 属性が 1-234... の book 要素

XPath の簡単な例の応用

本のデータ: books.xml

簡単な変換ファイル: books-xpath.xsl

絶対パスと相対パス

(absolute path and relative path)

• パスは道を指定する
• 道の一歩一歩は / で区切られている
  
• / で始まるパスは絶対パス (ルートノードから)
  例: /books/book[5]/data/@ISBN
• 他のパスは相対パス (現在のノードから)
  例: data/@ISBN
• . は現在のノードを示している
  例: .[data/@ISBN]

ステップ

• 道の一歩一歩はステップ (step)
• ステップは一般的に次の形になる:
  axis::node-test[predicate]
  例: descendant::data[@ISBN]
• 多くの部分は省略可能

XPath の軸

(axis)

• 軸は道の方向を決める
• 一般的な書き方は axis::
• child:: (子要素)、attribute:: (属性)、descendant:: (子孫要素): 大体省略可能
• parent:: (親要素)、anchestor:: (祖先要素) などは省略不可能

省略記法

• my-element: 子供要素 (child::my-element)
• @my-attribute: 属性 (attribute::my-attribute)
• .: 現在のノード (self::node())
• ..: 親ノード (parent::node())
• //: 子孫ノード (/descendant-or-self::node())
• *: 全ての名前の (要素) ノード

ノードテスト

(node test)

• 名前によるテスト (要素名、属性名)
  例: book, @ISBN
• 種類によるテスト:
  • text()
  • comment()
  • processing-instruction()
  • node() (要素ノードだけではなく、テキスト、コメントも含む)

述語

(predicate)

• ステップに条件がつけられ、それによって対処ノードを減らすことができる
• 例:
  • [7]: 七番目のノード ([position()=7] の略)
  • [my-element]: 子要素 my-element の存在のチェック
  • [@my-attribute]: 属性 my-attribute の存在のチェック
  • [@my-attribute="hoge"]: 属性の値のチェック
• ステップは進むが、述語はテストだけ

ノードセット

• 指定によって (道の終わりの) ノードが一意に決まらない
• そういう場合には XPath の結果がノードの集合 (node set)
• 複数のノードに処理が適用される場合もある
  例: book/data/@ISBN
• 更なる指定が必要な場合もある
  例: book/data[@ISBN="1-23456-7890"]

演習

提出: 10月 23日 (金曜日) 22:00 までに Moodle に投稿

• books-xpath.xsl を変更して、books.xml から色々なデータを取り出せるようにする。
• 例:
  • 六番目の本の ISBN
  • 九番目の本の値段
  • 二人目の著者
  • 二人目の著者のある本の題名
• 自分で今日習った XPath の機能を使って他に面白いデータの取り方を考え、上記のものを含め合計10種類を実装し、色々試してみてください。