プログラミング基礎 I

第六回 (2011年 5月16日)

DTD の基本

http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2011/PB1/lecture6.html

Martin J. Dürst

© 2006-11 Martin J. Dürst 青山学院大学

目次

• 前回の演習
• 自由自在の XML の限界
• DTD の基本
• 内部 DTD と外部 DTD
• 検証

先週の演習・宿題 2: 本の情報

例を見ましょう

自由自在の XML の限界

一人一人が独自に要素や属性を決めると、問題が多発:

• データの欠落、順番などのチェックが不可能
• 多数のスタイルシートが必要
• 特定の要素に対して特定な処理を行うのに多数のプログラムが必要
• 要素などの意味は人間がなんとなく理解するが、はっきりしない
• データ交換の自動化は困難

→ 決まった要素・属性を定義し、統一

→ これはスキーマの役割

スキーマの役割

(schema)

• 使える要素と属性を決める
• 要素の内容、要素と属性の組み合わせを決める
• 一部、使用可能な属性値、要素の内容を決める
• XML 文書をスキーマと照らし合わせて検証可能にする

XML 用のスキーマの種類

• DTD (Document Type Definition) (XML 仕様の一部)
• W3C XML Schema
• Relax NG
• Schematron

それぞれ一長一短だが、これから DTD を中心に勉強

DTD の指定

• 内部 DTD (internal DTD): DTD を XML ファイルに書き込む
• 外部 DTD (external DTD): DTD を別のファイルにする

内部 DTD の一例

<?xml version="1.0" ?>
<!DOCTYPE Letter [
<!ELEMENT Letter (to, from, Title, Text) >
<!ATTLIST Letter date CDATA #REQUIRED >
<!ELEMENT to (#PCDATA) >
<!ELEMENT from (#PCDATA) >
<!ELEMENT Title (#PCDATA) >
<!ELEMENT Text (#PCDATA) >
]>
<Letter date="2006-04-17">
   <to>Students</to>
   <from>Martin</from>
   <Title>Reminder</Title>
   <Text>Please don't forget
         your homework.</Text>
</Letter>

外部 DTD の一例

<?xml version="1.0" ?>
<!DOCTYPE Letter SYSTEM "myDTD.dtd" >
<Letter date="2006-04-17">
   <to>Students</to>
   <from>Martin</from>
   <Title>Reminder</Title>
   <Text>Please don't forget
         your homework.</Text>
</Letter>

ファイル myDTD.dtd:

<!ELEMENT Letter (to, from, Title, Text) >
<!ATTLIST Letter date CDATA #REQUIRED >
<!ELEMENT to (#PCDATA) >
<!ELEMENT from (#PCDATA) >
<!ELEMENT Title (#PCDATA) >
<!ELEMENT Text (#PCDATA) >

XML 文書の分類

• [間違っていて、XML ではない]
• well-formed (「整形式」など): 今まで習った、基本的な文法に準拠、要素が入れ子になっている
• valid (「妥当な」、「検証済み」): ある DTD が定義している文章形式に準拠

Well-formed と valid

Well-formed (整形):

• XML の文法に従う
• 要素、属性の名前、構造は問わない
• XML の処理系は必ずチェックしないといけない

Valid (整合):

• DTD で検証された XML 文書は valid という
• 検証のプロセスは validation (整合検証) という
• ある特定の DTD で valid になることを valid against ... DTD という
• XML の処理系の一部しかチェックしない

DTD の読み方と XML 文書の作り方

1. <!DOCTYPE の次の単語は XML 文書全体を囲むルート要素
2. ルート要素の開始タグと終了タグを書く
3. ルート要素用の <!ATTLIST を探し、開始タグに追加
4. ルート要素用の <!ELEMENT で内容モデルを探す
5. 内容モデルの要素ごとに 2 からのステップを繰り返す

検証のやり方

• W3C Markup Validator File Upload を使用
  (授業中は学内のコピーを使用すること!)
• 「More Options」で Encoding を 「utf-8 (Unicode, worldwide)」に設定
• ファイルを選択
• 「Validate this file」を選択
• Result: Tentatively passed validation でしたら OK

検証のエラーの読み方

• charset や Character Encoding について: エラーのではなく、ブラウザのアップロード機能による警告だけ
• エラーメッセージの例:
  • required attribute "ISBN" not specified: ISBN 属性が必要が、無い
  • end tag for "data" which is not finished: data 要素の終了タグに来たが、内容が足りない (入れ子の問題の可能性も)
• エラーメッセージを必ず上から順番に一つ一つ対処する!
• 作業の途中で validate し、「まだやってない」もの以外のエラーが無いのかを確認!

DTD の部品の説明

ELEMENT は要素の定義

書式: <!ELEMENT 要素名 内容モデル >

簡単な内容モデル:

要素の内容が空: EMPTY

テキストのみ: (#PCDATA)

複数の要素の内容モデル (データ用)

(content model)

順番: (elem1, elem2) (elem1 の後に elem2、両方が必要)
例: <!ELEMENT book (title, author, ISBN) >

選択: (elem1 | elem2) (elem1 又は elem2、両方は不可能)
例: <!ELEMENT Letter (from, to, (greeting | 挨拶), text) >

任意: (elem1?) (elem1 はあってもなくても良い)
例: <!ELEMENT Letter (from, to, subject?, text, greeting?) >

繰り返し (0回以上): (elem1*) (elem1 は0回以上繰り返す)
例: <!ELEMENT books (book*) >

繰り返し (1回以上): (elem1+) (elem1 は1回以上繰り返す)
例: <!ELEMENT books (book+) >

この内容モデルは自由に組み合わせることができる

混合内容モデル (文書用)

(mixed content model)

(#PCDATA | elem1 | elem2)*

注意点:

• #PCDATA は最初
• | でテキストの中に許す要素を列挙
• 必ず * をつける
• 他の内容モデルとの組み合わせは不可能

例: <!ELEMENT text (#PCDATA | special)* >

属性の定義

書式 (属性が必要な場合): <!ATTLIST 要素名 属性名 CDATA #REQUIRED >

書式 (属性が任意の場合): <!ATTLIST 要素名 属性名 CDATA #IMPLIED >

例: <!ATTLIST Letter date CDATA #REQUIRED >

演習 1: 本のデータを DTD に合わせる

5月20日 (金曜日) の 22:00 までに Moodle に投稿。

先週作った本のデータを book.dtd に合わせて修正、補完 (ファイル名は mybook2.xml)

次の外部 DTD を使用:

<!DOCTYPE books SYSTEM
"http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2008/PB1/examples/book.dtd" >

属性値などについて、DTD のコメントも考慮

必ず検証してから提出 (検証には W3C の Validator 又は学内のコピーを使用)

複数の人から同じ本についてのデータが出されたら減点