第五回: 字句解析ツール flex
2012 年 5 月 18 日
http://www.sw.it.aoyama.ac.jp/2012/Compiler/lecture5.html
© 2005-12 Martin J. Dürst 青山学院大学
flex
の概要flex
の使い方と演習全て同じ力を持って、お互いに変換可能、正規言語を定義・受理
字句解析 (lexical analysis)
構文解析 (parsing; syntax analysis)
意味解析 (semantic analysis)
最適化 (optimization)
コード生成 (code generation)
getNextToken()
のような関数で)主な要点:
選択肢:
flex
の概要lex
のオープンソース版、様々な拡張lex
: Unix 付属の字句解析器生成系
(作者の名前は Mike Lesk)bison
と相性がよいls
: ディレクトリの内容をリストアップmkdir
: 新しいディレクトリを作るcd
: 現在のディレクトリを変更するpwd
: 現在のディレクトリを表示するgcc
: C のプログラムをコンパイルする./a
: コンパイルしたプログラムを実行するnotepad filename.l &
: cygwin
からメモ帳を直接、並行で使用C:\cygwin
C:\cygwin
の下しか見えないC:\cygwin\home\user1
pwd
で /home/user1
として表示C:\cygwin
からの脱出:cd /cygdrive/c
(MS Windows の C
ドライブのトップに移動)flex
の動作.l
の flex 用入力ファイル ((f)lex
ファイル) を作成 (例: test.l
)flex
で test.l
ファイルから
lex.yy.c
ファイルを作成:flex test.l
flex
が作成するファイルの名前は
lex.yy.c
lex.yy.c
を (他のファイルと一緒に)
コンパイルflex
の使い方main
から yylex()
関数を一回呼ぶ
構文解析から yylex()
を繰り返し呼んで、トークンを return
で返す
今日の演習・宿題では 1.、bison
で字句解析を作る演習では 2.を使用
flex
の入力形式flex
専用の指示と C
プログラムの一部分が混在
主に、二つの %%
で区切られている三つの部分からなる:
C 言語そのものと違って、改行、字下げが解釈を左右
flex
の入力形式の骨格宣言など (C 言語) 宣言など (C 言語) %% 正規表現 実行文 (C 言語) 正規表現 実行文 (C 言語) 正規表現 実行文 (C 言語) %% 関数など (C 言語) 関数など (C 言語)
flex
の入力形式の一例int num_lines = 0, num_chars = 0; %% \n ++num_lines; ++num_chars; . ++num_chars; %% main() { yylex(); printf( "# of lines = %d, # of chars = %d\n", num_lines, num_chars ); } int yywrap () { return 1; }
flex
の入力形式の構造二回の %%
で三つの部分に分割:
#include
、グローバルへん巣の設定などflex
の演習 1前のスライドの flex
用プログラムを処理、実行
flex
用プログラムを
test.l
にコピーflex test.l
で lex.yy.c
を作成gcc lex.yy.c
で a.exe
を作成./a <file
でプログラムを実行flex
の勉強の仕方flex
の出力 (lex.yy.c
) を読むflex
のソースを読む (flex
の字句解析も flex
形式で記述)flex
-v
)flex
の基本動作flex
呼び出し時:
.l
ファイル内の C 言語の断片のコピー.l
ファイルで先のものが優先flex
の演習 2一般のテキストを XML
の要素の内容にする場合には次の表に示される変換が必要
flex
でその変換と逆変換のプログラムをそれぞれ作成
テキスト | XML |
' |
' |
" |
" |
& |
& |
< |
< |
> |
> |
flex
の演習 3: 数字の発見入力をそのまま出力、しかし数字でしたら、その前に
>>>
、その後に <<<
をつけるプログラムを flex
で作成
入力例:
abc123def345gh
出力例:
abc>>>123<<<def>>>345<<<gh
ヒント: 正規表現でつかんだ文字列は yytext
として使用可能
flex
の演習 4: 提出期限と場所: 2012 年 5 月 31 日 (木) 19:00 まで O 棟 5 階の O-529 号室の前の箱に投入
提出形式:
flex
の入力ファイル (.l
).l
ファイルの先頭でコメントとして記述プログラミング言語 C の字句解析プログラムを作成。出力はトークン一つに一行で、トークンの種類も記述。
処理するトークンは以下の通り:
発展問題 (追加点): 追加のトークン類: 文字列定数、コメント
入力の簡単な例:
if (xyz*3 > 5) abc = 'c';
出力の例:
keyword: if parenthesis: ( identifier: xyz operator: * integer constant: 3 operator: < integer constant: 5 parenthesis: ) identifier: abc operator: = character constant: 'c' semicolon: ;
flex
でよく出る問題flex
実行時にエラーは出にくい
対策: 毎回 flex から処理し直す:
> flex file.l && gcc lex.yy.c && ./a
<input.txt
flex
の指示ではなく C
の部分は少なくとも空白一つ字下げが必要%%
以後は不要)int yywrap () { return 1; }
を忘れずyytext
で使えるputchar(yytext[0]);
(マッチした部分の一文字目を出力)\
でエスケープするか、""
で囲む必要がある