後期試験 ・ 2020 年 1 月 30 日 1 時限実施 ・ ページ
授業 科目 |
データ構造とアルゴリズム | 学生番号 | 学科 | 学年 | 組 | 番 | フリ ガナ |
評点 | ||||||||
氏名 | ||||||||||||||||
担当者 | DÜRST, Martin J. |
ヒープと二分探索木は両方とも二分木で、各節にキーを含むデータ項目を格納するデータ構造である。
全ての二分木に共通の「ルール」を書きなさい。(5 点)
二分木は、各親に最大二個の子しかない木であり、 木はルートと呼ばれる節以外各節が一つの親と呼ばれる節に辺で結ばれていて、親から見て結ばれる節を子という、グラフである。
木の形を制限する「ルール」をそれぞれ書きなさい。(5 点)
ヒープ: 完全に分木である、すなわち最低の層以外は全層が埋まっていて、最後の層の節は左に寄り、子が1個しかない節は最大一つ。
二分探索木: 特になし
それぞれの応用例を書きなさい。(4 点)
ヒープ: 優先順位キュー、ヒープソート
二分探索木: 辞書という抽象データ型
キーによるデータ項目の配置についての「ルール」をそれぞれ書きなさい。(5 点)
ヒープ: 親より子 (のキー) の優先度が低い
二分探索木: 親より左の部分木のキーが低くて、右の部分木のキーが高い
この問題で「ルール」と書いてあるものの正式な専門用語を書きなさい。(2 点) 不変条件
それぞれの木の平衡を保つための対策を説明しなさい。 (6 点)
ヒープ: 完全二分木である以上、
平衡である。
二分探索木: 赤黒木や AVL 木のように、追加の条件が必要。例えば赤黒木では辺を赤と黒に染め、ルートから葉までで連続に赤の変を禁止する。
両方のデータ構造の「ルール」を同時に守った木を描きなさい。各節のキーには、お互いに異なる、できるだけ小さい自然数を使いなさい。(3 点)
0 (小さい値の方の優先度が高い前提の場合) / 1
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下記の三つの事情に合わせて、文字列照合のアルゴリズムを実装するよう頼まれた。 アルゴリズムを選んで、そのアルゴリズムの名前、仕組み、選んだ理由と、実装の際に特に注意すべき点を記述しなさい。
この授業で一番分かりにくかったことを書きなさい。 (決まった正解はありません。)
What was most difficult to understand in this course? (there is no definite answer)
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この授業で一番勉強になったことを書きなさい。 (決まった正解はありません。)
What topic in this course was most interesting for you? (there is no definite answer)
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一回目の授業では参考書の購入 (又は貸出) と熟読が強く薦められました。熟読した参考書の詳細を書きなさい。参考書を読まなかった場合、その理由を書きなさい。
石畑清著、アルゴリズムとデータ構造、
岩波講座ソフトウェア化学、岩波書店
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次の英語の用語に相当する日本語の用語を書いて、簡単に説明しなさい。日本語の用語ではカタカナをできるだけ避けなさい。部分問題 1.11
以降は説明を長くしなさい。
For each of the English terms below, write the corresponding Japanese term and give a short explanation.
For the Japanese terms, avoid Katakana as much as possible. For subproblem 1.11 and later, give
a longer explanation.
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下記の「ポストの対応問題」の課題のため、下記の最初の四つの部分問題のアルゴリズムの設計方針や原理を使った際の、
それぞれのアルゴリズムの概略を提案しなさい。また、それぞれに対し、予想される計算量とその根拠、設計方針を使った場合の問題点について述べなさい。
For the problem explained below, in the first four subproblems propose ideas for algorithms
using the respective algorithm design strategies. In each case, indicate the expected time
complexity and the reason for it, and the problems when using this design strategy.
注: この問題の目的は、最適な結果をもたらすアルゴリズムの発見よりも、設計方針の知識の応用である。
Caution: The purpose of this problem is to show you can apply your knowledge about design strategies,
rather than to design the best algorithm.
課題: ポストの対応問題では、n 個のカードの種類が与えられ、カードの表の上方と下方にそれぞれ文字列が書かれている。 目的はカードの横並びで文字列を連続に読むときに、上方全体の文字列と下方全体の文字列が同じになるようにすること。 このような並びが可能であればカードの種類の順番、不可能であればその旨を出力する。
動的計画法 / dynamic programming
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貪欲アルゴリズム / greedy algorithm
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分割統治法 / divide and conquer
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シミュレーテッドアニーリング / simulated annealing
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ゲーム会社に勤務しているとする。社長から、 「委託先から来月末までにどの入力に対しても正しい結果が出せるプログラムを出さないと契約が打ち切られる。」 と言われたときの返事の概略を書いてください。
大変申し訳ございませんが、ポストの対応問題に対し、完璧なアルゴリズムが存在しないことが証明され、広く知られています。 ポストの対応問題は、正確に定義できる問題の中で最も難しくて、ある意味で有名な難問の NP 問題よりも無限倍に難しいです。 多くの入力に対し正しい出力を出すアルゴリズムは作れるが、完璧なものは論理的に無理なので、委託先と再交渉したほうがいいです。
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下記左側にある C 言語のプログラム断片 (変数の定義などは省略) について、それぞれの計算量とその理由を右側に書きなさい。
For each of the C fragments below to the left (without variable definitions,...),
on the right write the time complexity and the reason for it.
for (i=0; i<k; i++) for (j=0; j<k; j++) sum += detail[i] * detail[j];
二重ループで、全体で 内部の掛け算と足し算が合計 k*k 回実行されるので、O(k2)
for (x=0; x<10; x++) a = x + x*x + x*x*x;
10 回繰り返されるが、10は定数なので、一定時間で終わるので、O(1)
int fun(n) { if (n<2) return 1; else return fun(n-1) + fun(n-2); } fun(n);
これは fibonacci 関数の再帰的な計算で、fun(n) には fun(n) の計算時間がかかって、よって O(fibonacci(n))
for (x=1; x<=n; x++) for (y=1; y<x; y++) for (z=1; z<y; z++) total += items[z];
三重ループで、内部のループは外部の指数の範囲に制限され、 形は裏害されている三角錐になる。内部の計算の回数はおよそ n3/6 で、 O(n3)。
for (k=n; k>0; k/=3) total += k;
for ループを一回回ると k が三分の一に減るので、およそ log3n 回るので、O(log n)
四つの行列の連鎖乗算 0M1 · 1M2 · 2M3 · 3M4 を行う際、スカラ値同士の乗算の回数と、最善の計算順を求めなさい。計算の過程や途中結果も書きなさい。 行列の大きさは r0=3, r1=30, r2=4, r3=20, r4=5 で与えられている。
0M1 · 1M2 の乗算数は 360、
1M2 · 2M3 は 2400、
2M3 · 3M4 は 400;
0M3
は 0M1 · 1M3 で乗算数が 0+2400+1800=4200 で,
0M2 ·
2M3 で 360+0+240=600 なので、 後者が 600 で最善;
1M4
は 1M2 · 2M4 で 0+400+600=1000 で、
1M3 ·
3M4 で 2400+0+3000=5400 なので、前者が 1000 で最善。
0M4 は
0M1 · 1M4 で 0+1000+450=1450 で、
0M2 · 2M4 で 360+400+60=820 で、
0M3 · 3M4 で 600+0+300=900 で、
0M2 · 2M4 が 820 で最善。
よって、乗算の順番は (0M1 ·
1M2) ·
(2M3 ·
3M4) で最善。
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二分探索を使用する挿入ソートを二分挿入ソートという。二分探索を使用しない挿入ソートを単純挿入ソートともいう。
配列 data (長さ len) の中のデータ項目を単純挿入ソートで整列するアルゴリズムを疑似コードで書きなさい。 (12 点)
algorithm insertion_sort inputs: data (length len), output: data (sorted) for i from 2 to len-1 do move ← data[i] for k from i-1 to 1 do if move < data[k] data[k+1] ← data[k] else break end_if end_for data[k] ← move end_for end
単純挿入ソートのデータ項目の移動回数と、データ項目同士の比較回数を、それぞれ O 記法で表しなさい。 2 点)
移動回数: O(n2) 比較回数: O(n2)
二分探索の使用により、挿入ソートの比較回数を減らすことが可能である。そのやり方を考え、説明しなさい。(4 点)
二分探索を、挿入する項目の場所を決めるために使う。挿入済み領域の中で、挿入する項目より大きい最初の項目を探す。 その項目を先頭にした挿入済み領域の右側の項目を全て一項目分右側に移動する。
(最悪の場合における、) 二分挿入ソートの場合、データ項目の移動回数とデータ項目同士の比較回数、 それにアルゴリズム全体の計算量をそれぞれ O 記法で表しなさい。(4 点)
移動回数: O(n2) 比較回数: O(n log n) 全体の計算量: O(n2)
最善の場合における、二分入ソートの場合、データ項目の移動回数とデータ項目同士の比較回数、 それにアルゴリズム全体の計算量をそれぞれ O 記法で表しなさい。(4 点)
移動回数: O(n) 比較回数: O(n log n) 全体の計算量: O(n log n)
データや比較関数の違いによって、単純挿入ソートよりも二分挿入ソートの実際の実行時間が短くなる可能性がある。 実際に実行時間が大幅に縮む場合の、データや比較関数の特徴を説明しなさい。(4点)
移動回数が二分挿入ソートの場合、データがすでにほぼソート済みの場合低いので、データがあまりソートされていない場合、二分挿入ソートが有利。 さらに、二分探索により、比較回数が減るので、比較関数が重いデータの場合に有利。移動回数が変わらないので、データ項目の大きさは影響なし。
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O 記法は定義上いくつかの特徴をもつ。以下の特徴がなぜアルゴリズムの評価に適しているのか、それぞれ説明しなさい。
Big-O notation by definition has a number of properties. For each property, explain why it is suitable for the evaluation of algorithms.
対数の底が不要。 / The base of a logarithm is irrelevant.
これは次の特徴の「定数の倍数を無視できる」ことの結果である。対数の場合、底の変更は定数との掛け算で可能で。 例えば logax = logbx * logab である。この場合、logab は定数なので、無視してもよい。
定数の倍数が無視される。 / A constant multiple is ignored.
様々な計算機の実行速度のさにより、プログラム言語や実装によっても速度の差が出るし、 最近は並列化も注目されているが、それによって一定の倍数の差が出るが、それ以上の差が出ません。 アルゴリズムの評価では実装の詳細のではなく、アルゴリズム (すなわちアイディア) そのものを評価したいので、定数の倍数を無視した方がいい。
一定数までの差が無視される。 / Difference up to a constant is ignored.
一定の差 (例えば数ミリ秒や数秒) は初期化や準備の実装の差などで出る可能性があるが、 データの項目数が増えると全体の実行時間がどんどん伸びるので、一定時間の差はアルゴリズムの比較に必要な根本的な差のではなく、 実装の詳細による差に過ぎないので、無視した方がいいです。
プログラミング言語 Ruby をアルゴリズムの表現に使う授業がある。Ruby を教材に選ぶことによる様々な利点と問題点を説明しなさい。 / There are courses that use the programming language Ruby to express algorithms. Explain the various advantages and problems of using Ruby.
利点 / advantages: Ruby の文法が単純で (例: 行末のセミコロンが不要)、多くの部分 (例: 演算子) が他のプログラム言語と似ていて、 変数の宣言が不要で、データ構造 (例: 配列) とデータ型 (例: 整数) の組み合わせも 自由で、高度なメソッド (例: each) があるので、アルゴリズムの概念に近い記述が可能なので、実行可能な疑似コードとも言われている。。
問題点 / problems:プログラミング言語一般の問題であるが、 Ruby の場合でも一部、アルゴリズムのアイディアに必要ない細かい記述が必要。さらに、C や Java に比べて、 あらかじめ知っている学生が少ない。さらに、一部のメソッド (例: shift) は一定時間 (O(1)) で実行されるように見えるが、 実はそうでもないので、注意が必要。